カラオケデートで歌ったら元カノへの未練を感じ取った彼女
カラオケデートがきっかけで彼女と別れてしまった体験談になります。
当時付き合い立ての彼女は、歌うのが趣味の女の子でした。一方私は、音楽鑑賞は好きですが歌うことは得意ではありません。
また、カバー曲などで別のアーティストが、私の好きな曲を歌うことが嫌いという、融通が利かない一面がありました。
そんな時、カラオケのお誘いを躱すのにも限界が近づき、ついにカラオケデートをする日が訪れます。
意気揚な彼女、意気消沈する私という反比例な姿で入店し、選曲を始めます。手際よく曲名を選出する彼女に対して、数年ぶりのカラオケで何を歌えば分からず困惑する私。
そんな私の気分を盛り上げようとしてくれたのでしょう、90点以下は取らないと豪語し、十八番の曲を彼女は歌い出します。
趣味というだけあり、見事な歌唱力を披露してくれて、徐々に私のテンションも向上し始めます。90点、93点、97点と高得点をマークする彼女を称賛しつつ、私でも歌えそうな曲選びに躍起になります。
すると、4曲目に彼女が選んだバンド名に目が止まりました。男性のグループで、恋愛関係の歌も多くリリースしているメジャーバンドで、私も好きな曲が多数ありました。
これだ!と感じた私は、その中でも、特にお気に入りの曲を選びます。
曲のテーマも恋愛であり、テンポもゆったりなため、選曲はベストに違いありません。他にも2曲選択し、彼女の歌を褒め終えて、いよいよマイクを握ります。
聞き慣れたメロディーに、彼女が上げてくれたテンションを乗せて、私は快調に歌います。いざ歌ってみると、恥ずかしさは感じず、気持ちよさだけが体を包み、もっと早く歌えば良かったと、後悔さえ感じました。
ビブラートを最大限に利かせて、感情を込めて歌うことに気分が良くなり、3曲を一気に歌い終えました。
最高の気分でマイクを置いたところで、ふと違和感を覚えます。彼女のテンションがダダ下がりなのです。
得点も90点付近を獲得し、決して音痴でなかったのは間違いありません。
何故、と疑問を浮かべる私に対して、彼女は一言告げます。別れの歌ばかりで、何か複雑な気分になった。と
そう、私が選曲した3曲は全て、別れた恋人への想いをテーマにした曲だったのです。そんな曲を気持ちよく歌う私を見て、元カノへ未練があるのでは?と彼女に思わせてしまったのです。
自らの失態に気が付き慌てて弁明しましたが、時既に遅し、彼女の機嫌は戻ることなく、気不味い雰囲気が室内を支配します。結局、その数週間後に、その子とは分かれる羽目になりました。
食わず嫌いをせずに、事前にカラオケに行っておけば、こんな事態にならずに済んだと、今でも少し後悔している苦い失敗談です。